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2007年11月14日 (水)

07.06.13 日本へ7

P1030209 2時半に目が覚めた。未だカミサンがパソコンを叩いていた。520分、再び目覚めた。今度は僕がパソコンを叩く。テレビ画面のナビを見ると、北緯33°。進路を一旦下げている。そのままだと、勝浦辺りに付き進む位置だったのだ。いずれにしろ、地球の放物線に沿って航跡を描いているのが、尤も効率のいい航行だ。左舷後方は、黒い雲が下りて水平線も見えないのだが、前方には水平線が見え青空も広がっている。日本の天気は、関西から崩れるが関東は今日一日天気マークだったと記憶している。TVは、NHKだけで民放の電波は未だ受け止められない。

明日は横浜に入港、帰国である。洗面所に行こうと立ち上がった。机の上に一枚の紙が置かれてあった。インビテーション・カードだった。

『ご結婚記念日おめでとう御座います。本日御夕食の席にてお祝いさせていただきたく、ご案内申し上げます』

MOPASには、船客データがあるのだ。2月生まれのカミサンと4月の僕には、クルーズでの誕生日祝いは、無縁である。せめて、二人の結婚を決めた日くらい、船上で祝ってもいいかと、二回目の世界一周クルーズの時に初めて申請したのだった。それにしても、14日は、下船当日である。首を傾げながら朝食に出た。

そこで、ファースト・シッティングの工藤さんとばったり。「私たち、神戸まですんのよ。今日もやろか、やるやろっ、ほな、あとで」それだけ言い終えて、階段を上がっていった。カミサンは、荷造りのやりくりに僕のデッキゴルフ時間も、既に織り込み済みだった。

するか、考えているところへ、菅谷さんの顔。このことを伝えると、「9時には行きますよ」当然の如く、言い返された。

早すぎた朝食を終え、ひさしぶりに、部屋に戻って八点鍾を聴いた。

 

Img_2327_12『大変穏やかな天気です。前線の北側に出ています。北風を受けています。気温も下がってきました。

北緯33°52′、東経147°56′。野島崎の沖、760kに来ております。速力173ノット、時速32k。天候は曇り、北の風13m、気温205℃、水温23℃、波の高さ約15m。

コースが折れ曲がっておりますことにお気づきでしょうか。ちょっとした騒動がありました。昨夜のグランドフィナーレが終わりかける頃、海上保安庁より『航空機の遭難した可能性有り、航空機を飛ばすので、救助願いたし』との連絡を受けました。現場は、南東90マイルの位置とのこと。このエリアの船舶では、最も近い5時間で到達できる地点にいましたので、本船は進路を変えました。030分過ぎ、周辺海域での捜索が始まりました。捜索の結果、02時に海上保安庁より『遭難見当たらず』として、救助体勢の解除がなされました。再び進路を横浜に向けました。これが航跡の折れ曲がった理由です。

横浜の天気、入港時の14時は小雨という予報です。気温22℃。手荷物は小さくされ、雨具をご用意下さいませ』

折れ線の意味が解った。

カミサンが、記念日は下船日だがと、インフォメーション・デスクに訊きに行った。こうした記念日は、1ヶ月前、2週間前と事前に準備し、親しくなった方々と同じ席で食事をするというのが、どうやら船の上では慣例のようだ。しかし、出航間もない時期ならまだしも、寄港地が重なってくると、知り合いになる方も増え、どなたに声を掛けるのかに悩むことが多い。また、そのために、美容院の予約をして、着飾って来る方もいらっしゃる。このため、リピーターの中には、ひっそりと二人だけで乾杯してしまうケースが増えている。高嵜廣子さんの誕生日がそうだった。

「ご都合がつけられるならば、是非お祝いさせていただきたい、とご案内させていただきました」インフォメーション・サービスの担当者は、是非受けて下さいと勧める。「では、お別れ会にもなりますので、他の方数人とご一緒の席をお願いいたします」「では、マネージャーの平に申しつけてくださいませ」「有り難う御座います」

 

「荷造りいつやろうか?」「いいわよ、まだ。デッキゴルフやるんでしょ。その時間は差し引いてあげるから、やってきてくださいよ、ラストなんだから、気の済むまで…」

9時に後部に行くと、高嵜さん、工藤さん、松田ご夫妻、高木敏恵さん、菅谷さんといつもの顔が当然という顔で僕を見つめる。塩野さんは、奥様の許諾を得るために、すっ飛んで戻って行った。様子見に来ていたとは、嬉しい限りだ。

プレイをすることだけが嬉しいという面々だが、飛び抜けて塩野さんの腕が上がっている。「これでは、横浜で降りたくないでしょ、神戸までどうですか」「ええ、えへへへ」と僕。

 

東京組には、最後のデッキゴルフになった。昨年は、横浜港に着岸作業をしてる間も、プレイしていた。下船まで税関手続きの時間を見越してだ。出迎えのターミナルからは、いい歳をした男女が、モップでデッキを入れ違いに声を出しながら拭いているように見えたそうだ。

P1030078_612 結局、オーラスのゲームは、高嵜、塩野、萩原、高木敏枝が、菅谷、松田夫妻、工藤に勝った。神戸下船組は、神戸港に着くまでギリギリいっぱいやり続けるに違いない。今度は、雨天も出来るふじ丸で、関東組対関西組でやりましょうと言って終わった。今日が46戦目の日だった。

 Img_6870_2

「誰か、最後の僕に『このスティック1本プレゼントしてやれ』とでも言ってくれませんかああ!?」手にしているのは、実は、03年次から愛用してきたHの印を付けた旧式のスティックである。本気で、横浜桟橋へ秘かに投げ落として、落とし物扱い、いや掃除道具の棒きれとして受け取りたいくらいだ。

 

昼食はラーメンだった。口にすると、無性に「源太ラーメン(蛋白減、塩分減の病院食)」が何杯も欲しくなっていた。

食後こそは、荷造りだ。部屋に帰ると、早速、スーツケースを拡げた。今晩と明日の服を外して、しまい込む。足を通さなかったズボンが2本、腕を通さなかったポロシャツ類が4着あった。

P1030200_2 0613_2_1img_2346 1350分、「イルカの群れが船首方向に」というアナウンス。荷造りの最中でもあるからだろう、さほどバタバタした廊下の動きは、もうなかった。

 

 もう一度アナウンスがあった。 P10301961階からエレベーターで6階のブリッジに上がってみた。最後の動物を見ようと、かなりの人数が集まっていた。右舷側のウイングで突然嬌声が聞こえた。慌てて飛び出した。その指さす方向へカメラを向けた。連写にする時間はなかった。イルカが3回、海面下を 滑るように泳ぐ姿を見た。その動きをトレースするように、カメラをつけていった。シャッターを切った。1回目は失敗した。 二回目、その姿が潜った。そのタイミングでこちらも呼吸を整え、P1030190シャッターを切った。入ったと思ったが続けて追った。深く潜って閉まった。空シャッターを切った。

レビューしてみると、見事にイルカが海面から飛び出していた。やった。 片山一彦先生が傍にいた。写真を見せた。「凄い!」の一言だった。

 

気分良く部屋に帰った。松田さんから電話で部屋に来てくれと言う。夕方には、最後の「リーグ戦優勝表彰式兼打ち上げ会」が7階のリドデッキである。このことか。

訊ねてノックするがいない。高嵜さんが3階の自販機からビールをバケツに買い溜めている最中かと3階に下りる。姿はなかった。4階のプロムナードデッキを走る。松田夫妻の姿もない。6階のスポーツデッキに出てみる。大勢の人が集まっている。須磨和声率いる弦楽四重奏のアーティストも、ステージ衣装のままである。いったい何が起きたのか。見回すと、なんと、船客写真を撮ろうとしているのだ。聞いていない。知らなかった。一段上のデッキから、水本カメラマンと、平野写真師がカメラを構えている。カミサンに知らせたくとも、間に合わない。

「船内スピーカーで船客に知らせてほしいな」傍にいた蘇クルーズ・ディレクターに頼んだ。しかし、彼はこう言った。「いいんですよ、これくらいの人数で」。ままよと、僕だけ写真に収まっておく。Img_9693

撮られ終わったが、どうも釈然としない。すっきりしない。蘇君の言葉が引っかかる。そもそも、この集合写真は、03年世界一周クルーズの最後に、同乗のカメラマン東さんが発案したもので、クルーズの想い出をCD化するに際して最後に挿入するカットだった。だから、出来るだけ多くの船客の顔を記念として残すことだったはずだ。だから、06年世界一周クルーズの時には、デッキゴルフのプレイの合間に後部デッキから上がって加わった。今でもその時の船客の皆さんが部屋で笑っている。顔を覗き見る度に想い出が甦る。同じ釜のメシを食った仲間というか、同じ日本人村で暮らした仲間と思える貴重な写真でもある。それを、カメラのフレームに寂しくない程度集まればいいのだという軽い捉え方が間違っている。蘇君が一期一会の船客の気持ちを察することができないからだ。半年も陸に下りないままの洋上生活者には、解らない気持ちなのだ。船客の顔が多ければ多いほど、その記念写真は価値のあるものになっていくのだから。

 

Cimg0170頭の中は割り切れない気持ちで、エレベーターを待つ。高嵜さんとばったり出遭う。7階に上がった。いつものように、リドデッキ脇の各種教室が開講されるスペースに、今夕は優勝者表彰式と打ち上げが行われる。メンバーの大半が顔を揃えていた。

ブロックアイスに挟まれて大量の缶ビールが高嵜バケツに積まれてある。このビールは、ホールインワイン提供者の協力で買ったもの。それぞれの前にウーロン茶や缶ビールが配られて、最年長者の菅谷さんが乾杯の音頭を取った。顔を見なければ、何処かの部活合宿のような雰囲気である。

Img_7058Cimg0176_3 Img_7070_2 会長とは今航海の名ばかりの仮称であるが、せかされて挨拶をさせられた。その機会に、各人の戦績を発表した。68分というトップの勝率を誇るプレイヤーに惜しみない拍手をと前置きをして、工藤さんの名前を挙げた。拍手が起きた。Img_7083 Img_7089 工藤さんの少女っぽい笑顔が、さらにみんなを嬉しくした。勝率第2位は僕で625厘。7連勝した結果が戦績に大きく影響したのだろう。5連勝したのも工藤さん、4連勝は僕と高嵜さん、鬼界さんが記録した。40戦こなしたのは、神戸から乗り込んだ松田さんと高嵜P1030234さんだった。優勝は、菅谷チーム、2位が高嵜チーム、最下位が松田チーム。それぞれに賞品が手渡された。忙しいスタッフチームも顔を見せてくれた。

 

菅谷さんから、横浜下船組と神戸組とで対戦したいねと提案Img_7086があった。みんな賛同した。新たに明日、横浜帰港直前に、もう一つの対決が持ち上がったのだ。こんな盛り上がり型は珍しい。高嵜さん菅谷さんのデッキゴルフへの想いがこうまで熱くしてくれたのだと思う。07年のクルーズが、ほんとうに想い出深いものになる。

 

さて夕食だが、荷造りをしてしまったので、既に普段着しか残していない。一緒に会食してくれる方々も同じだろう。

レストランに入ると、平マネージャーが創ってくれていたのは、センターの、センターの席だった。困った。晴れがましいことにはしたくないと言っておいたのだから、困った。正直、左舷でも右舷でも奥座敷が良かったのだ。今となっては、席替えも出来にくい時間だったが、敢えて平さんにそのことを話した。「この真センターの席は、船長席です。滅多に座れませんよ」ニコニコしながら、受け流された。「みなさんも荷造りした後ですから、カジュアルですよ」記念日というのは、前もって美容院に行かれる方、セミフォーマルにされて臨む方など、そうした姿を見慣れている他の船客の目が気になる。「最近、どなたも記念日をされないので、是非、我々の狙いを理解してください」相変わらず、笑顔でセンターテーブルに案内してくださる。高嵜夫妻、松田夫妻、高木夫妻が着席。一応にその位置に驚きの声が出る。クルーズ最後の席だからと互いにいいながら座る。徐々に席が埋まってきた。

Img_7124Img_7126 今晩は、航海日最後の夕食ということで、にっぽん丸ヘッドシェフ日浦田さんによる特選和食である。ふぐ料理だった。ひれ酒はメニューにあるし、松田夫妻は飲めないし、シャンパンを頼もうと手を挙げた時、シャンパンを手にした腕が背後から伸びた。驚く僕に、高木敏恵さんが、どうぞと合図している。気づかないうちにオーダーしてくれていたらしい。恐縮してしまった。各自に注がれる。乾杯と声を掛けられる。周囲の席が振り返る。ついに、気恥ずかしいバンドのメロディが近づいてきた。久しぶりに聴く音楽だった。 Img_7137 Img_7130「コングラチュレーション!」と描かれたプラカードを背に、船長からローソクの立ったケーキを差し出される。最後の最後に晴れがましく二人で立っていることの恥ずかしさ。周りの席からも拍手される。汗が出てきた。下船したら、またカミサンの手を煩わして、減塩料理を作ってもらうのだから、その拍手は彼女へのエールだと思っておこう。クルーズを終えると、しばらく奥さん方は料理の献立を考えるのが面倒になる、Img_6830いや、料理の仕方を忘れるという話もあるほどだ。1ヶ月間、僕の減塩調理をして下さった日浦田シェフに感謝。

 

今夜は、ボトルキープしてある焼酎を空けられそうもない。まだ、片付けが残っている。だから、カジノ券も余っている。次回乗船までお預けか。せっせと。宝籤を買わなくては。ホールを越えるつもりでなければ、パットは決まらない。打席に立っても、バットを振らなければホームランは打てないのだ。

デッキゴルフという仲間を得られて、ホントに良かった。夫婦で付き合える間柄は長期間乗船するクルーズだったから得られたのだ。クルーズしたいという同級生に、下船したらさらに勧めてみたい。P1030250

 




 例の集合写真についての知らせ方は、船内新聞では各階の施設の営業時間を伝える7ページ目に書かれてあった。 P1050109 P1050108クルーズ慣れしてきた船客にとっては、見なくなっているページである。見落とすはずだった。広告業界でいうところの「伝えても伝わるだろうか」である。やはり、今後は、時間軸で書かれる場所で、知らせるべきだと思う。

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